年末に読んだ本に関しまして。
2026.01.06
新年明けましておめでとうございます。
1月5日から2026年のクリニックもスタートしました。本年もどうぞ宜しくお願い致します。
年末に読んだ本をご紹介させて頂きます。
「犬は愛である:DOG IS LOVE」(早川書房 2021年)
私も小型犬を飼っていますが(5歳、マルプー、♀)、犬の可愛さや愛嬌の良さに日々癒されています。犬と人との関わりは約15000年前からとされ、犬の本質を教えてくれる興味深い本があり読んでみました。タイトルも「犬は愛である: DOG IS LOVE」とインパクトがあります。著者は、アリゾナ州立大学のクライブ・ウィン教授でアメリカ初のイヌ専門の研究室を設立した方になります。
いきなりですが、この本の結論は、「イヌの飼い主に対する愛くるしい表現や行動(尻尾振り、飛び跳ね、顔を舐めてくるなど)は、エサなどのご褒美や報酬をもらうために行っているのではなく、ただ素直に飼い主に対する愛情である」としています。この結論に至るためにこれまで報告された数多くの研究論文で説明づけをしています。
イヌの知能はほかの動物よりも大きく優れているわけではありませんが、ヒトとの長い年月の共有により「人間の最良の友」として進化を遂げています。勿論犬種によりその個性は異なりますが、”犬は知性よりも人と生きる愛嬌を選択した動物”と考えられます。また、その愛嬌は表裏のない本能的なものとなります。
近年の研究で特に印象的な報告として、イヌの進化における遺伝子変異でヒトにおけるウィリアムズ症候群と同型の遺伝子が発見されたことが挙げられています。ウィアムズ症候群の患者さんは「非常にフレンドリーであること」が特徴的な性格になります。それは、「出会う人全てを愛する」と表現されるほどで、誰に対しても優しく、人懐っこく、明るく社交的な性格といわれます。
また、他にも著者が非常に興味深いと述べている日本の麻布大学の研究グループの研究も引用されています。これは、イヌとヒトとで分泌されるオキシトシンを測定した研究になります。オキシトシンは「愛情ホルモン」と呼ばれ、幸福感を感じると分泌されるホルモンになります。研究では、イヌと飼い主が目を合わせると、両者のオキシトシン量が急増し、さらにその分泌量は心の絆の強さに比例すると報告しています。これは人間の母親と幼い子供の観察で得られる知見とそっくりそのままとなっています。
この本では、数々の研究データを元にして「イヌの愛情」の正体を言語化し、科学的に深掘りしています。ウィン教授は言います「わたしたちがイヌを大切にしなければならないのは、イヌたちがそれにふさわしいからだ。イヌの愛情に敬意を払って報いるために、わたしたち人間にはもっとするべきことがある。」ヒトとイヌとの関係は、一朝一夕でない歴史的な根拠のあるものであると考えさせられます。もしお時間がありましたらご一読をお勧めします。
※この本は、多くの研究内容が記載されていてじっくり読むとやや疲れるかと思いますので、興味のあるところを飛ばしながら読むのが良いかと思います。







