女性アスリートのスポーツ障害、予防に関しまして
2026.07.12
久々の院長ブログとなりました。
当院で外来をしておりますと、近年、益々と陸上中長距離や駅伝、マラソン、サッカー、野球、トライアスロンなどの持久系スポーツに取り組む女性が増えている印象を受けます。MRIで疲労骨折の初期像をとらえることも多くなっています。男性アスリートと比較して、特に女性アスリートでは、競技力向上を目指して練習量が増えるほど、「食事で補うエネルギー」と「運動で消費するエネルギー」のバランスが崩れ、知らないうちに身体へ大きな負担がかかっている選手も少なくありません。
このような状態は「REDs(Relative Energy Deficiency in Sport:スポーツにおける相対的エネルギー不足症候群)」と呼ばれます。エネルギー不足が続くことで、疲労が抜けにくい、思うように記録が伸びない、貧血を繰り返す、免疫力が低下して風邪をひきやすいといった症状だけでなく、ホルモンバランスの乱れや骨密度の低下にも繋がるとされています。
特に女性では、「利用可能エネルギー不足」「無月経・月経異常」「骨密度低下」の3つからなる女性アスリートの三主徴が大きな問題となります。月経が止まっていても「練習を頑張っている証拠」と考えてしまう方もいますが、それは身体からの重要なサインです。そのまま競技を続けることで、疲労骨折をはじめとしたスポーツ障害のリスクが高まることが報告されています。
こうした状態に早い段階で気付き、適切な栄養管理やトレーニングの見直しを行うことで改善が期待できます。そのためには、症状が出てからではなく、「予防」の視点が何より重要です。
競技を長く楽しみ、自分らしいパフォーマンスを発揮するためには、「練習」と同じくらい「身体の状態を知ること」が大切です。是非、選手自身、指導者、保護者の方々に上記に述べさせて頂いたような知識を学んで頂けますと幸いです。
今後は当院におきましても女性アスリートを対象とした血液検査の導入も検討しております。鉄欠乏や貧血、ビタミンD不足、栄養状態などを総合的に評価することで、REDsや女性アスリートの三主徴の早期発見・予防に取り組んで行ければと思います。科学的なデータに基づき、女性アスリート一人ひとりが安心して競技を続けられるようサポートして行ければと思います。
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